腫瘍切除・ポリープ切除Tumor excision
ポリープの切除はほとんどの場合、内視鏡で腹部(患部)を切らずに行えます。これをポリペクトミーといいます。
腺腫の一部にできた初期のがんまで治療可能となります。
胃ポリープ
胃の粘膜にできるキノコ状のできものを胃ポリープといいます。厳密にはがんなどの悪性腫瘍以外のものを指しますが、完全に区別できないこともあります。ポリープの一部が、がん化している場合もあります。
胃にできるポリープのほとんどは、過形成性ポリープといって、本当の腫瘍ではなく、炎症による粘膜の盛り上りです。これはがんとあまり関係ありません。胃では比較的少ないものに、腺腫と呼ばれるポリープがあります。これは良性の腫瘍ですが、がんとの関連性もわずかではありますが知られています。
大腸ポリープ
大腸癌は胃癌と違い大部分がポリープから発生します。大腸癌はほとんどが良性の腺腫性ポリープが大きくなり癌へと進んでまいりますので、そのポリー プのうちに切除すれば、いろいろな臓器の癌の中で唯一、癌になる前に治療できる病気です。このポリープの段階なら、内視鏡的切除が可能です。しかし、この ポリープの段階では、症状が出ないのがほとんどですので、検査が必要となります。最も簡単な方法は、検便による便潜血反応ですが、この検査ではつかまらない癌・ポリープが非常に多く、信頼性に欠けます。かつて、日本人には比較的少ない病気と考えられていましたが、このところ急激に増加しています。欧米風の脂肪が多く、繊維の少ない食事がその一因と考えられています。
ポリープ切除の必要性
胃にできるポリープは、胃の粘膜が隆起しただけで、がんになるものはほとんどありません。一方、大腸のポリープは大きくなると、がん化するリスクがあります。
病院によってはポリープを発見しても経過観察をする場合がありますが、当院では、患者さんの負担を減らすためにも発見した際にその場で切除をします。大腸検査同様、麻酔下で実施するため、痛みなどはほとんどなく切除は完了します。
大腸ポリープ切除の方法
内視鏡の先端から輪(スネアー)を出してポリープをとらえ、これに高周波電流を流しながら輪を引き絞るとポリープが完全に根元から切除できます。切除したポリープは回収し、良性か悪性かを判断するため病理検査を行います。
大腸ポリープの80%は良性の腫瘍ですが、ポリープが大きくなるとがん化するリスクが高まっていきます。
自分の腸で発見されたポリープの種類や大きさを知ることで、今後の適切な検査・治療に繋げることが可能になります。
ポリープ切除の後の注意
- 出血・穿孔等の合併症は、ポリープ切除後、翌日から発生することがあります。
切除後1週間は要注意です。 - ポリープ切除後の1週間は激しい運動や重いものを持たないで下さい。
- 2~3日は、排便をいきまず自然に出すように心がけて下さい。
(ポリープを取った部分の腸壁は弱いので、下腹部に力を入れず圧をかけないようにする。) - 当日は入浴禁止。1週間はシャワー程度にして下さい。
- 1週間は刺激物を避け、飲酒しないで下さい。
- ポリープ切除後、1週間以内に赤黒い便や腹痛等があった場合は当院へ早めに連絡して下さい。
ポリープ切除後の食事の注意点
ポリープを切除した後は、どんな生活をしていても良いわけではありません。2日間安静にし、食事も3日間程は柔らかく、繊維質の少ないものを選び、量も少なめにします。
又、刺激物や冷たい飲料水、アルコール類は絶対にとらないようにします。これらの食品は下痢を起こしやすいからです。下痢を起こすと腸内の 圧力が高まり、出血をひきおこす可能性があります。
大腸内視鏡について
大腸ポリープは「がんの芽」といわれています。ポリープを切除しがんの発生を防ぎましょう。通常、がんは早期発見が大切で、予防することまでは困難といわれていますが、『大腸がんはポリープを発見し、切除することで予防が可能です。』
また、大腸ポリープには良性で癌化しないもの、良性だが癌化ポテンシャルをもつもの<大腸腺種>、悪性のもの<大腸がん>に分かれます。大腸腺腫や大腸がんは内視鏡手術の治療対象となります。大腸ポリープはサイズが大きくなると内視鏡では手術できなくなりますので、比較的小さいサイズのうちに、内視鏡で手術しますと、開腹手術にならずに済みます。